展覧会<記憶風景を縫う─チリのアルピジェラと災禍の表現>長崎展開催のお知らせ


アルピジェラは、南米チリの軍政期(1973-1990年)に作られはじめたカラフルな手縫いの壁掛けです。貧しい女性たちが古着や余り布を縫い合わせ、日常生活の様子や軍政下の政治弾圧の経験をパッチワークに描いたアルピジェラは、現代に生きるわたしたちに深い印象を伝えます。本展ではこのアルピジェラを、戦争・紛争や災害の経験を描いた国内外の裁縫作品とともに展示し、それぞれの土地で重ねられてきた経験や表現との対話をこころみるとともに、手仕事がことばや地域の壁を超えて有する可能性についても考えます。
長崎展では、被爆詩人として長崎の女性史に名を刻んだ福田須磨子(1922-1974年)による「ぎんなん人形」と「壁掛け」を紹介します。彼女は、原子爆弾被爆10年目を迎えようとする1955年4月、エリトマトーデス(紅斑症)を発症し、高熱で寝込む日々のなか、自身の苦境を「ひとりごと」と題した詩に綴り、注目されました。入退院を繰り返す中、生活の足しにしようと仲間と作り始めたのが、土産物の「ぎんなん人形」と「壁掛け」です。
“寝てばかり、嘆息ばかりでは生きていけない”…前を向こうとする彼女の営みは、軍政期の弾圧下でも工夫を凝らして生き延びたチリの女性たちの体験と響きあいます。

 

長崎展:2017年8月29日(火)〜9月3日(日)10:00-19:00(最終日は16時迄)
会場:長崎県美術館 県民ギャラリーA室(長崎市出島町2-1)
入場無料

 

主催:「記憶風景を縫う」実行委員会
共催:東北学院大学地域共生推進機構、Survivart、Conflict Textiles
助成:公益財団法人朝日新聞文化財団、平成29年度科学研究費補助金若手(B)、東北学院大学学長研究助成金、公益財団法人長崎平和推進協会
協力:大島博光記念館、長崎の証言の会
後援:長崎市教育委員会、NBC長崎放送、NHK長崎放送局、KTNテレビ長崎、長崎新聞社

 

◎長崎展チラシPDFデータ(583KB):
http://arpilleras.survivart.net/data/170804_ap_nagasaki.pdf.zip

◎3会場合同チラシPDFデータ(2.7MB):
http://arpilleras.survivart.net/data/170516_arp.pdf.zip
AP_flyer610

◎図録出版のお知らせ
「記憶風景を縫う」展開催に合わせ、30点以上の展示作品やその解説、またアルピジェラが制作された背景の解説などで構成された図録を出版します。アルピジェラについてのまとまった出版物としては国内初となります。ぜひ、会場でお買い求めください。定価1,500円(税込)。
*通販も行っております。詳細はこちらをご覧ください。
本展によせて|ロベルタ・バチチ (キュレーター)
アルピジェラと、そこに描かれた故郷の山々は、喋りの言葉とは異なるあり方で人びとの経験を伝える「縫われた言葉」となっていきました。(…)「生きられた」布切れの手触りが縫い合わされるとき、そこに痛みと生のしなやかさとを表現する一つの絵が浮かび上がるのです。
──「記憶風景を縫う」図録より

 

ロベルタ・バチチ(Roberta Bacic)
1949年、チリ・サンティアゴ生まれ。研究者・人権活動家。英領北アイルランド在住。これまでに、ニューヨーク国連プラザ(米国)、チリ大使館(英国)、ゲルニカ平和博物館(スペイン)、ラテンアメリカ記念館(ブラジル)など世界各地で大小100以上のアルピジェラ展をキュレートしている。

 


 

長崎展 関連イベント

◎上映会『われなお生きてあり』
──被爆詩人・福田須磨子(1922-1974)の声を聴く

2017年9月2日(土)14:00〜15:30 参加無料、予約不要
会場:長崎県美術館 2階 ホール
コメント:徳安恂さん(株式会社長崎映像社顧問)
共催:長崎の証言の会、(一財)長崎原爆被災者協議会
1973年に放映されたドキュメンタリー『われなお生きてあり』(NBC長崎放送、46分)を上映します。上映後、本作品をつくられた徳安恂さんのお話をうかがいます。

 

作品ガイドツアー実施!
2017年9月3日(日)10:30〜11:30 参加無料、予約不要
会場:長崎県美術館 県民ギャラリーA
ガイド:ロベルタ・バチチ|Roberta Bacic(Conflict Textilesキュレーター、通訳あり)
友澤悠季(長崎大学環境科学部)
コメント:山口響さん(「長崎の証言の会」被爆証言誌編集長)
本展の展示作品についてガイドによる解説を行い、長崎の経験とのつながりを考えます。

 

ワークショップ「アルピジェラをつくってみよう」
2017年9月3日(日)13:00〜15:00 参加無料、要予約
会場:長崎県美術館 県民ギャラリーA
講師:ロベルタ・バチチ|Roberta Bacic(Conflict Textilesキュレーター、通訳あり)
参加条件:小学5年生以上
持ち物:不要(使い慣れた裁縫道具、古着や思い入れのある布地、小物などがあればご持参ください)
アルピジェラは、だれでも簡単につくれます。長崎にまつわる記憶を縫ってみませんか?
ご予約方法:「記憶風景を縫う」実行委員会<arpilleras@survivart.net>まで、
参加者名、人数、連絡先を明記のうえ、メールをお送りください。

 


 

◎「記憶風景を縫う」実行委員会プロフィール
2016 年4月より本展に向けて組織、活動開始。仙台では、2016年6月〜2017年1月にかけて、 チリの文化・政治状況、被災地の手仕事活動、および裁縫を通じた社会支援や政治行動などをテーマに月1回の公開勉強会を開催しました。同時に国内外の個人・団体と協力しながら、政治暴力や人災・天災の記憶の継承と表現について考え、本展覧会を準備してきています。

 

酒井朋子(さかい・ともこ)
1978年、北海道生まれ。東北学院大学教養学部准教授。専門は人類学、記憶研究。主著に『紛争という日常-北アイルランドにおける記憶と語りの民族誌』(人文書院、2015年)。実行委員代表。

 

長内綾子(おさない・あやこ)
1976年、北海道生まれ。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒。2004年、Survivart(サバイバート)設立。2011年11月、震災を機に仙台へ移住し、ビジネスと文化の両方の現場でキュレーションなどを行っている。

 

高橋創一(たかはし・そういち)
1986年、宮城県気仙沼市生まれ。編集、ライター、その他。文化施設や企業、NPO法人などの広報物や報告書、書籍の編集、構成を主に手掛ける。

 

宮本直規(みやもと・なおき)
1971年、東京都生まれ。東北学院大学教養学部講師。専門はフランス語学。

 

[長崎展 実行委員]
友澤悠季(ともざわ・ゆうき)
1980年、神奈川県生まれ。長崎大学環境科学部准教授。専門は、環境社会学、公害・環境思想史。主著に『「問い」としての公害-環境社会学者・飯島伸子の思索』(勁草書房、2014年)。

 

◎お問い合わせ
「記憶風景を縫う」実行委員会
TEL:095-819-2784(長崎展実行委員 友澤悠季)
E-mail:arpilleras(at)survivart.net
*(at)を@に変えて送信してください。
Facebook:http://www.facebook.com/arpilleras.jp/

 

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